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展覧会13日目_斎藤ちさと展

 

Roonee247 Fine Artsのディレクター杉守加奈子さんにインタビューしました。Rooneeさんは小伝馬町(東京・中央区日本橋)にあり、特に写真に関係する多くの方がご存知かと思います。額装に関するあらゆること、そして写真集の販売や展覧会開催などお仕事は多岐にわたりスペースもとても素敵です。近くにはギャラリーも多く、近年は美味しくてお洒落なパンやさんやカフェが続々オープンするなどお散歩が楽しいエリアですね。

  

加奈子さんには個人的にもお尋ねしたいことがたくさんあるのですがここは堪えて…、オンライン展覧会の趣旨通り、お宅の一隅を彩る斎藤ちさと作品についてお話いただきました。2017年6月、そして2019年11月の斎藤ちさと展とも額装はRooneeさんで、画像の右中に写っている版画は昨年展示の作品です。

 

 

 

斎藤ちさと / なみとα

2019年11月12日~11月24日より

 

画像右中

江戸後期の藩医の日記に着想を得て作成した映像作品から版画に仕立てたもの

 

 

 

◯ご購入いただいた動機


斎藤ちさとさんの作品は以前から額装しており、カメリアさんでの展示の額装もご依頼いただいた際、拝見してすっかり一目惚れしてしまいました。「展示前に不躾なのですが。。。」と。。。いけませんね。。。でももうどうしようもなくお家に連れて帰りたくなってしまいました。

 

◯作品を購入することに抵抗はないですか

◯作品を飾ることで生活に変化はありますか?

 

もともと地元が陶芸が盛んなので、陶芸作品は20代の頃から求めていました。上京して小さな部屋にはあまり壁がなく、またお金もなかったので購入しておりませんでしたが、ギャラリーを開設して、平面作品を購入する人の気持ちを知りたいと考えました。
初めて購入したのは、山田素子さんの六切のモノクロの作品。当時山田さんは羊に魅せられ、世界中の羊に会いに行き、展覧会で羊の住む島の話、羊飼いの話、黒い羊と白い羊の話、などを伺いすっかり楽しくなり、この作家さんを応援したいと考えたのと、お部屋に飾りたいと思い購入いたしました。20,000-ほどだったと記憶しております。20代の私には、いいお洋服と同じくらいで購入できる作品もあるのだと目から鱗でした。列を成して、小屋へ帰る羊たち。一番前のリーダー格の羊だけがレンズを向ける小林さんに気づき、そのあとの子達は前の子が振り向くのに反応してるのですが、振り向き加減がグラデーションになっていてクスッと笑えて、ほっとする作品!壁にかけた作品と目があうたびににっこりが生まれるのでした。

 

◯美術館、ギャラリーにはよく行かれますか
 
週に3回ほどです。ギャラリーの休みと他のギャラリーや美術館の開館時間がかぶるので、ルーニィをはじめてからあまり行けていません。

 

◯他にもコレクションされていますか

 

購入したもの、いただいたもの含めて飾っておりますが、飾りきれないので気分転換に時々飾り替えをします。大御所も新人さんも合わせて飾ります。

 

◯これからも作品を購入したいですか
 
平面も立体も、作品と暮らす豊かさと楽しさを知ってしまった以上いわんやをやです。また、購入することは作家さんの次の制作へつながることなので「次の作品を楽しみにしてるよ」という意味でも購入していきます。そして、そのことを皆様にもお勧めいたします。

 

◯こんな作品を買ってみたいというのがあれば教えてください
 
小野サボコさんのアルミのインスタレーションの中に、熊谷聖司さんのスライドショーを投影して、ヨシダコウブンさんのケモノの立体と中野由紀子の花殻を放牧した狂った部屋で、ジンジャーエールを飲みたいです。

あ、真面目に書きます 笑(上記もある意味夢ではありますが)
残念ながら5月コロナで延期になってしまった展示ですが、櫻井朋成さんの「コンテ」です。パリ在住、食いしん坊でおられるフォトグラファーの櫻井さんは、食をテーマに作品を作るプロジェクトを現在進めておられ、この度コンテチーズを紐解きました。櫻井さんの職人やコンテが育つジュラ地方の自然に迫る迫力と優しい眼差しを、エリオグラビュールという100年前の技法を伝えるファニー・ブーシェさん(フランスの人間国宝!)がプリントされています。背筋がしゃんとする緊張感と美しさ。在宅で仕事をする時に、ぜひ側に飾りたいです。

 

◯ギャラリーへ望むこと(カメリアでなくても)

 
アートは不要不急なのか。

アートではお腹は膨れないが、しんどい時に側にあって欲しいもの。震災の年、一日1~2人しかお客様は来られませんが、あるお客様の一言「無用の用だな。ありがとう。」を改めて思い出します。生産性のなさそうなギャラリーが果たす役割があると考えます。作品を見る場、何も用がなくても私たちに会いに遊びにくる方もおられます。正味の話、今多くのギャラリーが存続の危機だと思います。(ほぼ自分に向かって言っておりますが)なんとか踏ん張って、未来に繋げましょう!

 

 

 

以上

 

加奈子様、ありがとうございました。未来へ繋げていきましょう。これからもよろしくお願い申し上げます。

カメリアでの写真講座講師・安達ロベルトさんの水彩画による個展がRoonee247さんで6月に予定されています。どうか開催しますように。

 

 

 

 

 

斎藤ちさと

Chisato SAITO

 

1994年 女子美術大学卒業
1996年 女子美術大学大学院修士課程美術研究科版画研究領域修了
2007年—東京農業大学農学部非常勤講師

 

仏教と素粒子論に共通する「世界は点や粒で出来ている」という考えにインスパイアされ、粒や点を通して世界を見る写真・映像・インスタレーション・本などを制作している。個展やグループ展、アートプロジェクトなどで発表。

 

近年参加した主な展覧会

 

  

2004年 "ART TODAY 2004" セゾン現代美術館、長野

2010年 "アーティスト・ファイル2010-現代の作家たち" 国立新美術館
2011年 "松戸の美術100年史" 松戸市立博物館、千葉
2012-13年 "虹の彼方 こことどこかをつなぐ、アーティストたちとの遊飛行" 府中市美術館

 

 

 

ギャラリーカメリアでは

 

露地と泡

2017年6月27-7月9日 

 

なみとα

2019年11月12日-11月24日

  

  

以下の画像は2019年の個展より版画と映像の一部です(クリックで拡大表示)

 

   

  

  

 

 

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