新型ウィルスの世界的な蔓延は、私たちの暮らしを変えています。経済は壊滅的な打撃を受けていますが、地球にとっては良いことがたくさんあるのかもしれません。まだまだ先行き不透明ななか、変化に対応すべく多くの方が様々なアクションを起こしています。美術業界の方々も動画での美術館ガイドツアーや無料のオンライン講座、過去の展覧会紹介をネット配信でスタートさせるなど、アクセスすれば誰もが簡単に享受することができています。このような状況においての多くの方のご尽力とお気持ちには感謝の想いでいっぱいです。
カメリアでも何かできないかと考え、ギャラリーと作品を動画でご紹介しようと準備を始めた矢先、緊急事態宣言による外出自粛要請によりギャラリーに行くのが難しくなりました。そこで、自宅に居ながらお客様と作品とギャラリーを繋げられたらと、カメリアで作品をお求めくださった方にメールをお送りして、オンライン展覧会開催にご協力をお願いいたしました。
「美術は、不急かもしれないけれど不要ではないんだよ、美術を愛する私たちにとっては必要というよりむしろ"必須"なんだよ」
という想いで企画いたしました。芸術鑑賞を強要するつもりはないですが、これまで作品をお求めくださった方からお話を伺うことで、私たちにとって芸術が、表現を鑑賞するということが、日々の生活に、人生に、エッセンスを与えてくれることお伝え出来ましたら幸いです。
" これからギャラリーに行ってみたいな "
" 家に作品を飾ってみたいな "
そう思っていただけましたら、この状況が落ち着きギャラリーで展覧会が再開したときに是非お立ち寄りください。
ギャラリーまでの道のり
奥野ビルという歴史的な建物に足を踏み入れたときの空気感
窓から風や光をうける白い空間、空気と作品の匂い
作家との会話
他に寄り道したギャラリー
帰り道での展覧会の反芻
その日のお天気
作品の購入はオンラインでも可能ですが、ギャラリーを巡るイメージごと、おうちで想像しながらお楽しみください。
記念すべき、最初の作品です。
早川陽子 / ひかりのとまり木(2017年2月)
「天使と百合」
凸面ガラスに油彩、開閉式の額
光をうけることでガラスに描かれた白い油絵の具の線の影ができます。
描かれているのは大天使ガブリエル。受胎告知のシーンです。
この作者の早川陽子さんと私のお付き合いは短く、2007年のグループ展で小品を観たことがあるだけでした。凸面ガラスの小品で、ガラスが展示されてるだけに見えたのですが、よく見るとガラス面に白い油絵の具で蝶が描かれていて、私が見ていたのは白い蝶ではなくて、壁に映し出された蝶の影でした。繊細で清らかな作品はとても印象に残りました。2014年12月、Mさんのご紹介であらためてきちんと会い、展覧会開催が決まりました。ご結婚され、妊娠中の悪阻が酷くて制作が困難だったときに、その気持ち悪さを描いたら?とアドバイスをしてくださったMさんのおかげで生まれた毎日のドローイングは色ではない色(金、銀、銅という物質)で描かれたシリーズでこの2017年の展覧会でもご紹介しました。同時に、苦しくても模写ならできると、宗教画の模写をされていたことが、この展覧会の作品たち誕生のきっかけにもなったようです。
こちらの作品は、ガブリエルが手にしている百合の花の雌蕊が開閉式の額のガラス面に描かれていて、開閉することで受粉するかように見える作品でした。
こちらの作品をご購入くださったN様にお話を伺いました。
〇ご購入の動機
作品の見え方が、周りの空気も含んで変化する感じがとても面白く感じたから。ギャラリーに行って目の前でみたからこそ、光の変化を作品と同時に感じることが出来たのが重要で、みる角度によるみえ方の違い、白い空間の中で、作品に描かれているものと制作表現の両方から受ける、こころが洗われるような感覚、これを所有したいと思ったのです。また、おそらく時間帯や場所によって、現れ方に変化があるだろうなという予測も作品の幅を感じました。目の前で、少しの時間を作品と一緒にいたからこその感覚だと思います(少しの時間じゃなかったですけどね:はらだ)。
〇購入に抵抗はありませんでしたか
まったくないです。お金持ちになって、もっと買いたいです。
〇作品を飾ることで何か変化はありましたか
ふと作品をみる時間がこころのゆとりになる気がします。
〇美術館やギャラリーには行かれますか
月に1~2度、美術館とギャラリーをまわります。
〇他にも作品を買われてますか
コレクションしています。飾るものもあれば、所有しているだけのものもあります。
〇作品の購入を誰かに勧めたいですか
勧めたい! 理由は、自分に戻る時間が出来るからです。
〇その他 ギャラリーへ望むことなど
みたことのない、どきっとさせれるものと出逢いたいです。
早川さんのこの作品、ガラスに光が映りこんで、うまく撮れません!光をあてないとガラスに描かれた絵が写真では伝えられず、、、実際をみてもらうのが一番です!
今回のようなことがあって、この天使の作品は世界を浄化するイメージがして飾りたくなったのです。アートにはそんなことを感じさせる力がありますね。今回のような、世界的な状況で、作家さんは意図されてないかもしれませんが、作品の役割のようなものをより明確に感じています。
以上
ありがとうございました。2017年の展覧会そして、N様がご高覧くださっていたときのこと鮮明に蘇り、実際にお飾りいただいた様子とお話を伺うことで、あらためて嬉しく感じております。早川さんの略歴と、他の作品を少しご紹介いたします。早川さんの作品は2万円~5万円くらいのものが多く、他にも素敵な作品をご紹介可能です。ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にご連絡くださいませ(最後に営業)。
早川陽子 略歴
1997年 多摩美術大学美術学部絵画科 油画専攻卒業
1999年 多摩美術大学大学院美術研究科 絵画専攻修了
<個展>
2013年 『庭の休日』 ギャラリー澄光(東京)
2011年 『泉を探して』 ギャラリー澄光(東京)
2007年 『小鳥の低空飛行』 art&riverbank(東京)
2005年 『そういう世界』 企画:ギャラリー覚(東京)
2004年 『未踏の島 ―行ったこともない山について』 Za・Gallery有明(東京)、『北を向いて』 art&riverbank(東京)
2003年 『昼の惑星』 art&riverbank(東京)
2002年 『頭の島』 マキイマサルファインアーツ(東京)
2001年 『星の歩きかた』 Za・Gallery有明(東京)、『星の歩きかた』 exhivitLIVE(東京)
2000年 『日めくり』 なるせ美術座(神奈川)
1999年 『行ったこともない山について』 フタバ画廊(東京)
1998年 『生まれつつある現在』第二回アート公募審査員賞受賞展 モリスギャラリー(東京)
『天国の豆』 ギャラリー山口(東京)
『生まれつつある現在』第二回アート公募画廊企画賞受賞展 なるせ村田画廊(東京)
『行ったこともない山について』 フタバ画廊移転準備室(東京)
<グループ展>
2016年 『夢を形に』チャリティーエキシビション アートコネクトヨコハマ(神奈川)
2013年 『子育てと美術』(9月に出品予定) 企画:mhR/村田早苗 藍画廊(東京)
2012年 『野草のことば』 企画:代々木アートギャラリー(東京)
2009年 『PICNIC班 -現地集合-』 gallery Archipelago(東京)
2007年 『thinking about dog’s death』 art&riverbank(東京)
『盆景 -my favorite garden-』 企画: a piece of space APS(東京)
2004年 『とよた美術展’04』 〈入選〉 豊田市美術館(愛知県)
2003年 『美術誕生』入選作品展〈奨励賞受賞〉 八王子夢美術館(東京)
2000年 『TRANSIT/経緯・帯域』 企画:ガレリア・ラセン(東京)/鷹見明彦)
『美術の星座』 企画:なるせ美術座(神奈川)